萬屋物語(3) ~ 「萬屋」始動! だが・・・

発想そのものは間違ってはいないし、いわゆるバーチャル・ショッピング・モールの先駆けで競合相手もこの北陸ではほとんどいないわけだからそれなりの成功をおさめても不思議ではなかったのに、営業活動は苦戦を強いられた。
要するに、この地方では、インターネット・ビジネスが早過ぎたのだ。
個人はもちろんのこと、それ以上に企業内にインターネットが入り込んでいない。オーナー会社がほとんどの地方では、すべての決裁が社長に集中している。そして、その社長がPCを使わない。ましてや、インターネットとなるとちんぷんかんぷんの経営者ばかりで、「インターネットは、まだまだ早い。僕の息子の代にならないと役に立たないですよ」などといったレベルの低さである。情報社会と日頃言いながら、まったくもって時代音痴。それでも彼らが購読する新聞には、当時、毎日のようにインターネットに関連した記事が載っていたのだが、彼らは関心のなさ以上に、読解力がなかった。だから、ますます時代の流れに取り残されていったのだ。
ある程度の規模の会社になるとボトムアップで提案されたり、取引先との関係からもインターネットについては避けて通れないものと承知していたが、地方の中小企業レベルではそこまでの価値が残念ながら予測できなかった。
都市と地方との温度差のそもそもの根源は、このようなトップの時代感覚や価値観の違いによるものなのかもしれない。